『久しぶりに笑った顔を見ました』ALSの青年と出会って教わったこと
昨年の夏、20代後半で筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症し、気管切開をされたばかりの男性と出会いました。
初めて病室へ伺った日。
管理者とサービス提供責任者の二人でご挨拶に伺いました。
ご本人はとても穏やかで、静かな落ち着きを感じる爽やかな青年でした。
私たちも少し緊張しながらお話をしていたのですが、
途中、私たち二人のやり取りが少しおかしかったのか、病室の空気がふっと和んだ瞬間がありました。
その時、ご本人が見せてくれた、ほんの一瞬の笑顔。
そのあと病室を出てご両親とお話をした際、「久しぶりに、本人の笑った顔を見ました」と、お話しくださいました。
あとから伺えば、当時は気管切開をしたばかりで、ご家族もどう接していいか戸惑い、「腫れ物に触るように」緊張されていた時期だったそうです。
私たちはいつも通りにお伺いしたつもりでしたが、あの何気ない掛け合いを見て、ご家族も少しホッとされたのかもしれません。
あの時の言葉とご両親の表情を、私たちは今でも忘れることができません。
初めての在宅訪問とヤドンの帽子
その日、ご本人がポケモンがお好きだということも伺いました。
初めて在宅へ伺う日。
少しでも安心して、私たちを迎えていただけたらと思い、「ヤドンの帽子」をかぶって訪問することに決めました。
ドアが開いた瞬間、驚かれたような表情のあと、またふっとあの優しい笑顔を見せてくださったことを、今でも鮮明に覚えています。
寄り添う、という言葉の先へ
病気とともに過ごす暮らしの中には、日々さまざまな変化があります。
私たちは日々、「どう関わるのか」ということを考えています。
けれど、“寄り添う”という、ありきたりな言葉だけでは表しきれないものが、私たちの仕事にはあると感じています。
何気ない会話を交わしたり、同じものを見て笑い合ったりすること。
そのひとときを、お互いに心地よく感じられること。
あの日見せてくださった笑顔。
ヤドンの帽子に驚かれながら浮かべてくださった表情。
私たちは、そんな何気ない時間を、これからもご本人やご家族と一緒に、丁寧に重ねていきたいと思います。
ご本人がポケモンがお好きだと伺い、初めての在宅訪問ではヤドンの帽子をかぶって伺いました。
ところが、ご本人はヤドンをご存じなく、そのやり取りにみんなで笑ってしまったことも今では大切な思い出です。