介護職ができる「条件付きの非医行為」とは?

介護職ができる「条件付きの非医行為」とは?

介護の現場では、医師や看護師にしかできない「医行為」と、それ以外の「非医行為」が厳密に区別されています。
しかし実は、一定の条件を満たせば、介護職でも一部の医療的ケアを提供できることをご存じでしょうか?
本記事では、介護職が実施可能な「条件付きで行える非医行為」について、主な行為ごとに必要な条件と注意点を整理し、介護職が提供するケアの専門性をお伝えします。

  • 条件付きで非医行為を行うための共通条件(すべての行為に共通)
  • 容態が安定しており、入院・入所の必要がないこと
  • 副作用や投薬調整の必要がなく、連続的な経過観察が不要なこと
  • 専門的な配慮が不要な方法で行えること(例:誤嚥リスクのある内服、出血リスクのある座薬などは不可)
  • 本人または家族からの事前の具体的な依頼があること
  • 医師の処方に基づき、薬袋等で患者ごとに区分されて授与された薬であること
  • 医師や薬剤師の指導、および看護職員の保健指導に従うこと

1.軟膏を塗る

  • 患部の状態に変化があれば医師・看護師・薬剤師に報告
  • 褥瘡の周囲に軟膏を塗ることはできるが、褥瘡には塗れない
  • 以前に処方されていたからといって、医師の指示なく使うことはできない
  • 軟膏は期限内に使用(開封後の期限は薬剤師に確認)
  • 軟膏を塗布する部分に出血がある場合は医師・看護師・薬剤師に確認する

2.点眼する

点眼の方法
  1. 介助者は手洗いし手袋着用
  2. 拭き綿等で下眼瞼を軽く抑える
  3. 眼球やまつ毛に点眼薬の容器が触れないように点眼
  4. 2種類以上の点眼は5分程度間隔をあける

一包化された内服薬の介助

  • 一包化された薬のみ対応(PTPシート不可)
  • 医師の処方・薬剤師の指導を受けていること
  • 誤薬防止のため服薬管理を徹底

4.座薬の挿入

座薬の確認事項
  • 状態が安定している
  • 肛門部に出血がない
  • 座薬挿入がケアプランに含まれているか
  • 座薬の種類と効果は2種類入れるときは順番を確認(水性座薬ダイアップ・ナウゼリン → 油性カロナール・ボルタレン 30分)※ただし、膣剤は挿入できない

5. 爪切り

条件

爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がなく、かつ、糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合に、その爪を爪切りで切ること及び爪ヤスリでやすりがけすること

糖尿病の人の爪を切ってはいけない理由
  • 皮膚が弱い → バリア機能低下
  • 感覚が鈍い
  • 傷が治りずらい → 爪切りを失敗した場合、感染や潰瘍形成のリスクがある

爪の異常

  • 陥入爪
  • 巻き爪
  • 肥厚爪(ひこうづめ)

6. 口腔ケア・耳垢の除去

口腔ケアの条件
  • 重度の歯周病等がないこと
  • 歯ブラシや綿棒又はケン綿子などを用いて歯、口腔粘膜、舌に付着している
  • 汚れを取り除く
耳垢の除去の条件

* 耳垢塞栓とは 耳垢が耳の奥で栓のようになって外耳道をふさいでしまう 耳鼻科でとってもらう

その他

その他、 条件付きで介護職が可能な非医行為は、ストーマケア(排泄物の処理)(装具の貼り替え)、自己導尿の補助、浣腸があります。

まとめ

私たちの手が、誰かの安心をつくる―そんな誇りを持って、今日も介護の現場へ。


介護職が担える医療的ケアは、利用者の命と生活に深く関わる、重要な専門職のスキルです。
条件を守ることは、安全なケアを提供する第一歩。医療職との連携を大切にしながら、これからも専門性を高め、利用者にとって信頼される存在を目指していきます。