朝の助走
車通勤にデスクワーク——そんな毎日を過ごすうちに、気づけば運動不足が気になるようになっていました。
「このままじゃいけないな」と思い立って始めたのが、毎朝30分の散歩です。
今朝も5時、まだ少し薄暗い浅野川沿いの遊歩道を歩きました。
つい先ごろまでは桜が見事で、足を止めて見上げることもしばしば。
今はすっかり葉桜になりましたが、歩くにはちょうどいい、気持ちのよい季節です。
川の音やツバメや雀、鴨やサギなどのさえずりが、静かな朝にそっと響いてきて、この時間が今ではすっかり、私の楽しみになっています。
そしてもうひとつ、散歩中のささやかな楽しみがあります。
あいさつを交わすようになったご近所の年配の女性がいて、毎朝、チワワと丸々とした豆柴を連れて歩いておられます。
その豆柴は、もうだいぶ歳をとっているようで、歩き方もどこかトボトボ。
気が進まない日は途中で座り込んでしまい、女性が「行くよ〜」とやさしく声をかける姿が、なんとも微笑ましいのです。
こうして始めた朝の散歩。
体重に大きな変化はないけれど、心には風が通るような軽やかさが生まれました。
「今日は何から始めようか」
そんなことをぼんやり考えながら歩くこの時間は、今では仕事の前の大切な“助走”になっています。